薄暗い中よく見ると
あたしが蹴ったのは
紛れもなくフランス人形で
『……。』
あたしに蹴られたフランス人形は
ゆっくり
ゆっくり
体を起こし
口元をつり上げ
あたしに対して
ニィっと笑う
ナ カ マ
ナ カ マ
『なっ、なに…』
あたしの足元まで
這って来たフランス人形は
2体
3体
と、順番に
あたしの足首を
人形と思えない
強い力で掴んで
ガブっと
鋭い歯で噛み付く
『いっ…』
小さいと言っても
足首に走る激痛は
大型犬に
噛まれた時以上の痛み
払っても
払っても
ケラケラ笑いながら噛みついてくる
フランス人形
『いだ…う、あ゙ぁあ゙あ゙あ゙…』
この
フランス人形あたしの足を
噛みちぎるつもり!?
ガブッ
ガブッ
あたしは
激痛のあまりその場で倒れ
ナ カ マ
ナ カ マ
ア ン タ ノ
カ ラ ダ モ
アタシ タチト
オナジニシテアゲル
『や、やや…やめ…て!』
埃まみれの床を転げ回る


