部屋の中央まで
入ったあたしは



" マズイ "



直感?


ただならぬ気配を感じ
慌てて部屋から出ようと



振り返り



開いたままのドアに向かって



早足で歩こうと



右足を1歩踏み出す。



コロン



つま先に硬い感覚



『え…』



今何か蹴った?



でも…部屋に入った時は
何も落ちてなかったバス



『じゃあ、あたしは何を蹴って…』



" こう言う時、下を見るな "



頭で解ってても
見てしまうのが



怖い物見たさの好奇心と言う物



数回


深く深呼吸をしたあたしは



意を決して



恐る恐る
床を見ようと視線を下へ向けた



その瞬間



‐ バタン! ‐



突然
風もないのにドアが閉まり



『なっ、な…』



ベッドや棚に並んであった
数体のフランス人形が



鋭い歯をむき出し



両目をギラつかせて
這う様に歩きながら



どんどん
どんどん



あたしの元へ
近付いて来る