キィー…
ドアを開けたあたしは
充満する埃の臭いに思わず手で口を覆う
『……。』
部屋には小さな棚と小さな机
そして
シングルのベッドが置いてあって
凄くシンプルな部屋
『何だよこれ…』
あたしは
部屋の棚やベッドに
綺麗に並べられた
手足のない
大量のフランス人形を見て
ゴクリと生唾を呑み込む…
『……。』
なんで?
なんで手足を切断した
フランス人形なんか飾ってる訳!?
ちょっと待てよ?
この
独特なフランス人形の顔に服
どこかで見た事がある..
『あ…』
そう言えば
妹の佳代の部屋にも
飾ってあったよな?
て、事は
もしかしてこの部屋..
亜由美の母親の部屋?
『……!?』
その時
あたしの背後で
強い視線を感じ
あたしは慌てて振り返るが
『……。』
誰も居ない
いや
空き家なんだから
居なくて当たり前
なのに
体を突き刺す様な強い視線が..
確かに
確かにどこからか
あたしを見ている


