『一応謝ってやるって…偉そうな言い方…』
健太の手紙を最後まで
読み終わったあたしは
結城に手紙を渡す
「…俺も読んでいいの?」
『…勝手にしろよ』
「じゃあ読む」
『……。』
結城は腫れている目に涙を溜め
健太が書いた短い文を
何度も何度も読み返す
「…見に来ていいからって、本当は…萌チャンに見舞いに来て欲しかったんだろうな…」
『…っ』
結城の言葉に
止まりかけていた
涙がまた溢れ出す
健太とこんなにも早く
別れが来るって解っていたら..
見舞いだって
毎日行ったし
水族館だって
" 外出禁止ですって "
医者に止められても
無理矢理連れて行ってやった
『けん…たっ…』
18年間生きて来て
物心ついた時から
あたしは
大切だって思える
友達が居なかった
大切だって言える
家族も居なかった
人間なんて虫けら同然
明日香を殺した時
父親が死んだ時も
あたしの中に
悲しみという
感情はなくて
明日香を殺した時は
明日香があたしの
言う事を聞かない
怒りと
両親が自分の命以上に
大切にしている物を
奪ってやったんだと
人を殺して
勝ち誇った気分だった


