看護士は
健太の手紙をあたしに渡し
「確かに渡したから。じゃ、私は仕事に戻るので…」
あたしの目の前に居た
結城にも軽く挨拶して
ナースステーションへ戻って行った。
「その手紙…健太から萌チャンに…?」
『……。』
この手紙に一体何が
書いてるんだろう?
あたしは
結城に
手を引っ張って貰って
ゆっくりと立ち上がり
人だかりの中から抜け
少し歩き
人気のほとんどない
廊下の長椅子に座る
「手紙…読んだら?」
健太が
あたしに残した生前最後の言葉
そう思うと
本当にこの手紙を
読んでもいいのか
迷ってしまう
『…う、うん』
自分の中に
迷いが残る
そんな中
あたしは震える手で
可愛い封筒を開いて
「……。」
『……。』
健太からの手紙を読む


