窓に映っていた亜由美は消えて
警官に病室の外へ
出されたあたしは
人だかりの中
病室の前で座り込む
そんな中
人だかりの中から微かに
聞こえて来るヒソヒソ話に..
『……。』
あたしは耳を傾ける
" 両目にナイフが刺さって死んでたんでしょ? "
" ええ、発見したのは見回りの看護婦サンらしいけど…発見された時パソコンの電源が付いてたらしいわ "
" パソコンの? "
" 画面は真っ暗…看護婦サンが見て直ぐに消えたんですって "
" なんか気持ち悪い話…あ、ほら今病室に入って行った子…死んだ子のお姉サン?気の毒にね… "
『……。』
声の音量を
落として話している
つもりみたいだけど
全部聞こえてるって
気の毒?
心にも
思ってない事いいやがって
「…萌チャン」
人だかりをすり抜けて
目の前でしゃがみ込み
あたしに手を差し出す結城
『結城…健太が、健太が…今までどこに行ってたんだよ!』
「……。」
真っ赤に腫れた目を細め
何も言わず
微笑む結城
その微笑む笑顔は
全然笑ってなくて
『結城…』


