「萌チャン!?」
由佳へ簡単に挨拶し
部屋を出たあたしは
『お待たせ』
部屋の前で
待っていた結城に
にっこりと微笑む
「…桜井サン何だって?」
『別に、結城には関係ない話。たいした話しじゃねえから!それよりこれ…』
あたしは
由佳から借りた
亜由美のノートを結城に手渡す。
「亜由美の…」
『早速読んじゃう?何かヒントになる物が書かれてるといいんだけ…』
ブーブーブー♪
何!?
突然
あたしの言葉を
遮るかのように
ポケットの中で
メール受信を知らせる
携帯の着信音らしき
音に気付き体が固まる
「あれ?萌チャン携帯鳴って…」
『……。』
あたしの携帯?
違う
違う
違う
「…萌チャン?」
あたしの携帯は
結城の家に置いて来た
財布を忘れて取りに入った時
確かに
あたしの携帯は寝室にあった
『……。』
じゃあ今
あたしのポケットの中で
振動しているのは..
一体な、に?


