細かく刻まれた玉ねぎは
ドロドロになった液状のようになり
「何作るつもり?」
『秘密。それより明日香ずっと隣で見てたの?早く用意してきなって』
「え、用意して来たよ?」
『用意して来たってまだ三十分も経ってな…』
おい嘘だろ?
時間を確認したあたしは
思わず黙り込んだまま..
呆然と立ち尽くす。
「…お姉ちゃん?」
確かに十一時だったのに
キッチンの時計の針は
十二時を差していて。
『……。』
何かがおかしい。
「もう~お姉ちゃんったら、玉ねぎ刻みに真剣になって時間忘れてたとか~?」
あたしに対してくすくす笑う明日香
その笑顔は
あまりにも綺麗で可愛くて。
「え、お姉ちゃん何…どうしたの…?」
あたしは包丁を
手に持ったまま
明日香に微笑みかけて
ゆっくり近づいていく。


