" あたしも襲われてみたぁい "
いつだったかな
遠藤の回りにいる
女達が楽しそうに
話していたのを聞いた事がある
経験ない奴はそれが
どれ程の辛さなのか
解らねえから言える事だろ
懐かしいな..
あの時あたしは
遠藤の女友達に
一言言ってやったさ
" じゃあさ
気持ち悪い親父に
襲われたとしたら
生理的に受け付けない
そんな男に襲われたら
男でも同じだよ
自分が嫌だと思う
女に襲われたら?
それでも遠藤サン達は
襲われて嬉しいの?
心から喜べる? "
" そ、それは……え、江波テメェいちいち口ごたえしてんじゃねえよ!"
人間
自分で経験して
始めて気が付く
『結城…』
とっさに
自分の口から出た
男の名にあたしは
慌てて自分の口を押さえる
何でこんな時に
結城の事なんか考えてんだよ
結城に会いたい
そう思うのは
結城の存在が
あたしの中で
認めたくはないけどさ
大きくなっている証拠
..なのか?
『あ、あんなのんびりした男のどこがいいんだよ…』
この日あたしは
病院には行かず
そのまま真っ直ぐ
家に帰る事にした


