『おい、何であたしの話そらすんだよ?』
「え、俺…話そらしたっけ?」
わざとなのか天然なのか..
『そらしたじゃねえか、思いっきり!』
「ごめんごめん…」
にっこり笑う結城
でもその笑顔は
どことなく痛い
いつもと違う辛そうな笑顔
『……。』
あたしに対して
明るく
振る舞ってるけどさぁ
本当は辛いんだろうな
そんな結城を見てると
何故か
あたしの胸はズキッと傷む
「萌チャン?」
『え…』
赤信号になり車を
停車させた結城は
「…大丈夫?」
突然
黙り込むあたしの顔を
心配そうに覗き込む..
『…な、何が!?』
「いや、顔が赤いから体調悪いのかなと思ってさ…」
『そ、そんなひ弱じゃないし…』
「よし、予定変更…萌チャン今日は俺の家に泊まりな」
『…え?』
コイツの頭は正気か?
俺の家に泊まれって..
突然何言い出すんだよ
「体調悪い人間を1人にする訳には行かないしね」
『冗談じゃな…』
何も言わず
あたしに対して優しく笑う結城
『…解ったよ。泊まればいいんだろ泊まれば!』
「じゃあ決定だね」
結城に優しい笑顔を見せられたら
『……。』
断れなかった


