「解った。じゃあ今日はこれにて失礼するよ。…あ、そうそう。江波サン君も後日一緒に来て貰えるかな?」
『あたしも…』
「…亡くなった西川が手に持っていた物だ」
そう言って鞄の中から
透明な袋を取り出して
中身をあたしに見せる
『は…』
おっさんがあたしに見せた
袋の中身は紛れもなく
西川の血がべっとり付いた見覚えある上靴
しかも片方だけ
『なんでこの上靴があたしのって解るんだよ?それ…』
「かかとの部分を見れば一目瞭然だ。言い逃れ出来ないぞ」
おっさんが言う
上靴のかかと部分には
" 江波 " と書いてあって
確かに
上靴の汚ねえ字はあたしが書いた字
「萌チャン…」
『……。』
この上靴
確か公園のゴミ箱に
捨てたはずだよな?
なんで?
なんで西川が持ってんだよ
わざわざ
片方だけ西川が上靴を拾いに行った?
「じゃ結城、後日2人を連れて署の方まで来る様に」
「…解りました。また連絡します」


