『普通のシチュー…?』



シンクに流れるシチューを見て
内心ホッとするあたし。



この状況でなんでホッとしたかって?



だって


ホラー映画だったらこういう時絶対



切断された
体の一部が出て来たりするんだろ?



「何が普通だって?」



低い父親の声



あたしは
恐る恐る父親に視線を向ける..



「あ~あ勿体無い。お父サン必死で作ったのに…」



血だらけの父親は



そう言いながらボサボサの
あたしの髪を片手で掴む



『い、痛…』



離れようと
もがけばもがく程、頭皮に激痛が走る。



髪の毛が抜ける!真剣に思った。



『お父サン離し、て…』



ピー



炊飯器の音



「お、炊けた炊けた…」



父親は
髪を掴む手を離し炊飯器を開けた..