" 何作ってるの? "



何でかな聞きたいけど聞くのが怖い。



ううん。



今のお父サンに聞いてはいけない



そんな気がして..



わざと話しを変えて父親に話しかける。



『お、お父サンそう言えば…あ、明日香はどうするの?』



鍋をかき混ぜる
手を止める父親



「……。」



『あ、明日お通夜でしょ…あれって色々手続きがあるんだよね?あたしも手伝…』



「手伝って…くれるか?」



低い父親の声にあたしの心臓は
ドクドクと変な音を立てて騒く。



『……。』



何かおかしい..



お父サン?



違う。



アレは
いつもの気の弱いお父サンじゃない。



何?この感じ…



とりあえず逃げなきゃ。



早く..



" この家から出なきゃ "



内心そう思っていても
思う様に体が動かない。



「萌…」



火を止め



1歩また1歩と



父親は


薄笑いを浮かべながら
あたしに近付いて来る。