『お父サ…』
「入るな!!」
鍋をかき混ぜる父親は
あたしの足音に気が付いたのか
突然怒鳴り声を上げる。
『あ、ごめんなさ…』
「……。」
お父サン?
振り向く事なく無言で
鍋をかき混ぜる父親..
それにしても
どうしてキッチンだけが異常に寒いんだろう。
『寒…』
異様に寒い室内
「萌、もうすぐ出来るから…寒いなら部屋から上着を持って来なさい」
そう言った父親は
鍋をかき混ぜる手を止め
エアコンのリモコンを手に持ち
ボタンを連打する。
更に気温が下がる室内…
吐く息は白くなり体はカタカタと震える
そんな中父親は料理を再開。
『……。』
お父サン…
一体何を作っているの?


