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『親父、彰人サンは…』



病院に着いた俺とミユは
タクシーを降りて病室へ



「あきチャン…」



肩を震わせるミユ



『ミユ、きっと大丈夫…』



俺はそんなミユに対して
手を握る事しか出来ず。



ただ立ち尽くす



" 櫻井サン聞こえますか? "



" 先生、血圧が… "



室内では親父と2人の看護士が
彰人サンを囲み処置している。



そんな中



親父は振り返って
俺等の顔を見ると



顔色1つ変えず無言で
病室の外へ出るように目で合図を送った。



苦しそうに顔を歪ませる彰人サン



『…ミユ廊下出るぞ』



俺は


小さく頷いたミユの手を
握りしめたまま廊下へ…



『「……。」』



今俺等が出来る事は
ただ廊下で待つ事と



苦しむ彰人サンの無事を祈るだけ



悔しい…



何も出来ない自分が無力で情けなくて



そんな事を考えていると



自然と


ミユの手を握り締める
優斗の手に力が入る。



「優斗…」



『……。』



俺とミユはこれ以上一言も話しをせず



親父と看護士が病室から
出て来るのを待っていた