『ミユ…』
「本命なんていらない、男なんて遊び友達だけで十分。お姉チャンが亡くなってからずっとそう思って生きて来た」
『……。』
「…そんな時にあきチャンから変な男の話を聞いたの」
『…変な男?』
「1人の女を一途に愛し過ぎて、大好きな音楽も辞めて荒れてる馬鹿な男の話。小上優斗…あなたの事よ」
『……。』
「大学の入学式の時、女の子達が騒いでたから優斗がこの大学に居るって噂は直ぐあたしの耳にも入った」
『……。』
「優斗と章司に声をかけようって言い出したのはリミじゃなくてあたし。アンタなら女なんて簡単に1人や2人作れる癖に…たかが1人の女の為にまだ引きずって荒れているようだったら馬鹿じゃないの?って、あざ笑ってやろうと思ってた」
『あざ笑う、か…その為だけにわざわざ俺に近付いて来たのか』
「最初はね」
『……。』
「優斗と接して、色んな貴方を知って、今は一途に人を愛すのも良いかなって…思える様になった」


