男は窓の外を眺めていた。



『彰人サン…?』



彰人はアルツハイマーだった
恋人を3年前に亡くし



音楽は嫌いと言いつつ
歌い続けている変な男。



そして



俺が


毎日おかしな連中と遊び歩いたりして



自暴自棄になってた時



" 小上優斗。俺…お前の歌聞いてみたい "



" …解るよな。目の前の出来事から逃げるのは簡単だけど向き合わなきゃ前に進めない "



俺にやり直すきっかけを
教えてくれた人でもある。



無表情で窓の外を見ていた彰人は
俺を見て優しく穏やかに微笑む。



「…誰ですか?」



俺は彰人に近付き優しく微笑み返す。



『え、突然何言っちゃってんの?俺は小上…』



「優斗… な、何で此処に居るの!?」



売店に行ってたのか



振り返ると


ビニール袋を手に持ったミユが
ドアを開けて立って居た。



『ミユ…?』



「あ、香織おかえり。…この人と知り合い?」



香織?



「まぁね、知り合い。あきチャンごめん。この人とちょっと外出て来る。…優斗、来て」



『……。』