『……。』
受話器越しに虚しく
響き渡る通話終了音。
電話が切れる寸前
" 櫻井サン " と
ミユじゃない女の声が微かに聞こえた
『櫻井… 病院に居るのか?』
俺は軽くシャワーを浴びてから
抜け出した病院へ戻った。
病院に来た俺は
『櫻井って人が入院してると思うんですけど…』
通りかかった看護士に櫻井の病室を聞く
「櫻井サンですね、櫻井サンならこの先を右に曲がって左の奥の部屋です」
『ありがとうございます』
俺は看護士に頭を下げると
病院に来たとミユには連絡せず
そのまま櫻井の病室へ向かった。
『ここか…』
櫻井の病室は個室
俺はドアをノックして
ゆっくりドアを開ける
- ガラッ -
『失礼します…』
病室内は静かでミユの姿はいない
そんな中
病室のベッドに座る男を見て
俺は完全に言葉を失った。


