友梨サンは自分の鞄から手帳を取り出すと
俺に1枚の古い写真を見せる。
『この写真…』
友梨サンが俺に見せてくれたのは
小さい男の子が
笑っている写真
「…あたしが捨てた息子よ」
『……。』
もし俺が
息子だって話しをしたら
どんな顔をするだろう?
喜んでくれるかな
迷惑がられるかな
胸が締め付けられる
何とも言えないこの気持ちは何なんだ?
『その息子に会いたいとは…思わないんですか?』
「思わないわ。この子に会う資格なんて私にはないもの。…て、ごめんなさいね。何だか暗い話になっちゃって…」
『いえ…』
「そう言えばシキって源氏名でしょう?」
『え…』
友梨サンに突然名前を聞かれ
思わず言葉が詰まる俺。
そんな俺を見て
友梨サンはくすくす笑う。
「言いたくないのならいいのよ。言いたくなるまで待つわ」
『……。』
穏やかに微笑む友梨サンの表情は..
悲しい位に優しくて心が温かくなった。


