俺が唯一愛した女



自動販売機で何か飲み物を買おうと
ポケットから財布を取り出した俺は



ふと


財布の中で丸まって
しわくちゃになった



名刺を見つける。



『……。』



" 小上友梨 "と


書かれたその名刺は営業用の名刺の様で



『……。』



お店の住所から
電話番号全て書かれている



『場所的にここから徒歩5分位の場所か…』



特に行く所もないし



俺は自分の母親
友梨サンに会いに行く事にした。



別に深い意味はない



客とホストの関係じゃなく普通に
ただ会って話しがしたかった。



名刺に書かれた住所を探し歩き続けた俺は



1件のオートロック式の
マンションに辿り着く。



『こんな深夜に来られても迷惑だよな…』



来た道を引き返そうとした瞬間



「もしかしてシキ…?」



友梨サンが立って居た。



『え、友梨サンどうしてここに…』



「買い物へ行ってたのよ。シキこそどうしてここに?店外になるでしょ、私に何か用?」



『いや…』



ただ


話したかっただけなんて
言うに言えず黙り込む俺。