俺が唯一愛した女



「…優斗、小上優斗!!」



『… ハルサン?』



優斗サンに


名前を呼ばれて我に返った俺は
馬乗りになって殴り続けていた手を止める。



『……。』



「何やってんだよ…」



月は殴られ続け完全に気を失ってる様子



「シキ何があったんだ?」



開店の準備を途中で中断し



何事かと俺達を


見物している従業員達の
ひそひそ話が聞こえる。



『俺…』



優斗サンに聞かれて言葉が詰まる



『…解らない』



正直この時の事は
あまり覚えてない



覚えているのは
殴り始めるまでの月との会話だけで



気が付いたら
殴るのを優斗サンに止められていた。



「シキ今日は帰れ」



『ハルサ…』



「話は後日聞く、今のお前は営業の邪魔だ」



『……。』



俺は優斗サンに対して

それ以上何も言わず、着替えず
荷物と鳩の死骸を持って店を出た。