俺が唯一愛した女



「別に…ホストを認めた訳じゃないからな」



そう言って

親父は病室から出て行こうと
ゆっくりドアに向かって歩き出す



『あ、親父!』



親父は歩く足を止め
ゆっくりと振り返る



「……。」



俺はどうしても親父に聞きたい事があった



『俺の母親の旧名って何だった?』



以前、俺が働いてる店に来た小上友梨



友梨サンはあれ以来もよく俺指名で店に来ていて
色んな話をしてくれる。



その中で1つ俺の中で気になった事があった。



" 私の旧名… 知ってる? "



友梨によると


小上は別れた男の名で
自分の名前ではないと



友梨サンは笑いながら俺に話してくれた



「は?何を急に…」



『別に深い意味は無く気になっただけ…』



「浅本友梨、それがお前の母親の旧名だ」



『……。』



" 私の旧名は、浅本って言うの "



"浅本って… 友梨サンどうして名刺まで作って別れた男の名前を名乗ってるんですか?"



" 前も言ったじゃない?戸籍上ではまだ夫婦なの。だから私の名前でもあるの "



神様は皮肉なもんだな



実の息子と母親をホストと客として
再会させるなんてな。



俺は言葉が出なかった