『優衣…』
俺は懐かしい女の名を呼ぶ。
「……。」
窓の外を見ていた女は
自分の名前を呼ばれゆっくり振り返る
「優斗…?」
『……。』
「嘘、優斗だぁ…」
忘れかけてた優衣の笑顔が
俺の目の前にある。
「久しぶりだね」
『…久しぶり』
言いたかった事
伝えたかった事
今なら言えるよな、今なら届くよな?
「優斗ってば気にし過ぎだよ!ずっとあたしの事引きずって…そりゃあ思って貰えるのは凄く嬉しいけど…」
ふと優衣の指に光る指輪に目がいく
『その指輪…』
「優斗から貰った指輪だよ。本当なら生きてる時に貰いたかった…なぁんてね♪凄く大事にしてる」
これは夢?
自分で都合良く作り出した夢?
『優衣、俺な…』
泣いてる訳じゃねえのに
話そうとすればする程…
震える俺の声。
「……。」
そんな俺を見て優しく微笑む優衣
優衣の微笑む表情は
変わらず優しいけどどことなく悲しげで


