「ここの店初めて来たのよね…ちなみに指名は迷わず、あなたにしたの」
『え、何故?』
「面影が、ちょっと古い知り合いに似てた…からかな」
『俺の…?』
「あ、そうそう…あたし自己紹介がまだだったわよね」
女は
俺に名刺を渡して
また優しく微笑む。
そんな中
名刺に書かれた名前に
思わず言葉が詰まる俺
名刺には
小上友梨 (おがみ ゆり)
そう書かれてあって…
「どうかした?」
『いえ…友梨サンは、結婚されてるんですか?』
「昔はね、もう別れたわ。籍はそのままだけど」
母親の顔なんて覚えてないけど
もしかしてこの女が俺の母親?
けど名前が…
まさかな
友梨って名前は他にも居るし
ただ上の名前が俺と
同じだったからって考え過ぎだよな
ただの同性同名。
何より
小上って..
離婚した女が元旦那の
同じ名前を使うなんて
有り得ない話だろ。
「シキ…??」
『あ、すみません。ボーッとして… 何か飲みます?』
「頂くわ」


