『……。』



「ここまで良い女…俺、久しぶりに見ましたよ」



『それは良かったな』



「何か適当…」



俺は後輩の話を無視して
指名客のいるテーブルへ



『いらっしゃいませ』



テーブルに座っていたのは



淡い


オレンジのドレスを着た
モデルのように綺麗な女



化粧は薄く
髪は茶髪で軽く巻かれている。



女は俺を見ると
にっこり微笑み



「座って」



そして手を差し出す



『……。』



気のせいか?



この女どっかで
見た事ある様な



そう思いつつ俺は女に
言われた通り隣に座る。



「……。」



女は黙ったまま
喋る気配もなく


ただ座って居るだけ



『あの…』



「え?」



『こういう所よく来んの?』



「ううん、初めて」



背後から視線を感じる



『……。』



振り返ると


他のホスト達はチラチラと
俺とこの女を見ている様子。



『……。』



いちいち見てないで
自分の仕事に戻れよ



そう思いながら



俺はわざとらしく咳払いをする。