『あ…』



瑠奈の存在すっかり忘れてた。



『瑠奈、本当ごめん!』



自分のテーブルに戻った俺は
瑠奈に深々と頭を下げ謝る。



「自分の客ほったらかしてずっと待ってたんだから… 」



怒り口調で話す瑠奈
そりゃあそうだよな



「…なぁんて嘘♪」



『…え』



「良いよ別に。シキ格好良かったし♪その代わり今日は1日あたしだけ…」



「シキ」



『聖夜サン?』



テーブルに座ろうとした
俺を呼んだのは聖夜サン



「多喜子様がお見えです」



多喜子は40代前後の女で
聖夜サンいわくかなりの太客



『…解りました』



「シキ!」



頬を膨らませる瑠奈。



「もう!直ぐ瑠奈の所に戻って来てよね! 行ってらっしゃ…」



「シキ、新規入ったぞ!」



『…直ぐ行きます』



「シキの馬鹿ぁ!」



この日を境に


月サンの指名は急激に減り



その半面



月サンとは対象的に俺の指名が
どんどん増えて行った。