俺が唯一愛した女



「この忙しい中いつまで待たせる気だ」



『勝手に居たんだろ』



仕事や権力
世間体の事しか頭にない親父



俺はそんな親父が大嫌いだった。



「お前みたいな人間のカスがよく卒業出来たもんだな…」



息子を息子とは思っていない
親父はいつも俺を見下す。



『で、何か用?』



俺は表情一つ変えず
真っ直ぐ親父を見た



「可愛気も糞もない奴だな。お前…働くつもりか?」



俺の


右手に持つ求人誌に
気が付いたのだろう



親父に聞かれた俺は
慌てて求人誌を後ろに隠す。



『アンタには関係ないだろ』



しかめ面になった親父は
大きな溜め息を吐いた。