「…あれ?」
それまで隣に座っていた悠くんが、突然声を上げた。
「どうしたの、悠くん?」
私が首をかしげて尋ねるよりさきに、悠くんが木に登りはじめた。
「悠くん!?」
私がどうしていいか分からずにおろおろしているうちに、悠くんは何かを持ってスルスル木から降りてきた。
「…これが、木に括り付けてあったのに気が付いたんだ。」
そう言って、悠くんが差し出したのは…
桜色の封筒に、几帳面な字で『桜へ』と書かれた手紙だった──…
…もしかして、生前春くんがこうして木にくくりつけたの?
悠くんと顔を見合せながら、ビニール袋に入った手紙を手にする。
雨に打たれたせいか、手紙の文字はところどころ滲んでいた。

