とことん運が無いな……俺って。
暗い気持ちになっていると、凜子が明るい声でこう言った。
「蓮斗くんと2人っきりって、初めてじゃない? ちょっと、今日は話そうよ! 暇だし」
最後の言葉はともかく、嬉しい。
笑顔の凜子に、また頬が熱くなる。
自覚してたら、これ絶対に犯罪……。
「蓮斗くんの好きな果物は?」
「えっ!? うーん……り、リンゴ……?」
そう自分で言って、少し顔が熱くなった。
凜子が好きな果物だから、好きになった。……なんて、口が裂けても言えない……というか、言わない。
「わっ、一緒だね!」
「あ、あぁ……ぐ、グーゼンダナ……」
俺の目が泳ぐ。
こういうの、すっげぇ困るんだよな……こんな時は、凜子が鈍感でよかったと思える。