スラスラと書いては止まり、また書いて……。




しばらくするとノートの紙を一枚破いて、蓮斗くんに渡した。




「ハイ、できた」




蓮斗くんはそれをみて、嬉しそうに笑って言った。




「あぁ、ありが――……」




蓮斗くんの笑顔が固まる。




そして、一言。




「……これ、日本語じゃねぇ………しかも、英語でもねぇ」




蓮斗くんの言葉に、雪ちゃんは嬉しそうに笑った。




「うん。フランス語。私のお父さん、フランス人」




ハーフ!? と驚くことさえできず、私と蓮斗くんは茫然とする。




一方雪ちゃんはニッコリ笑って、




「そのお兄さんとやらに『人任せにするな馬鹿男』って言っておいて?」




そう言って去っていく雪ちゃんの背中を見て、容赦ないと思ったのは私だけじゃないハズ……














〝吊るされた男〟 正位置

     『忍耐』