その視線に気が付いたのか、冬馬がこっちを見た。




「…………なんや」




「ん? 別に」




……コイツは、ちょっと惚れてきちゃってるクチだろう。




私は椅子に座って溜息を吐いた。




……凜子も悪い女だねー…無自覚ほど怖いものは無いよ。




タロットカードを捲るけど、今日はあまり気分が乗らない。




ここ数日、ずーっとそうだ。




やっと学校に来ると思ったら、「風邪ひいちゃった☆」って何。




……『雪ちゃん』と連呼する煩い奴が風邪とか……ガラじゃない。




煩くて鬱陶しい声を待ってる自分が居る。




……なんか、恋する乙女みたいで自分が気持ち悪い。




あー、もう……ホント気持ち悪い。




落ち着かせるために息を吐いた、その時。