蒸し暑く、じめっとした空気の6月半ば。

蝉の声が耳につくなか一人の少女は小さなコンビニの袋を下げながら、小さく歌を口ずさんでいた。


「♪〜♪〜〜♪♪〜♪〜」

ニコニコと笑みを浮かべ、紺色の髪とワンピースの裾を揺らしながら、楽しげに坂道を下る。


少女の名前は村雨慈雨。


坂道を下った先にある“陽海何でも相談所”の従業員だ。


スキップしそうな程に楽しげな姿は通りすがる人々を立ち止まらせ、振り向く程にとても可愛らしい。