桜花舞うとき、きみを想う



朝食を済ませたぼくらは、早速、旅館を出た。

空は清々しく晴れ渡り、朝の匂いを含んだ空気が心地よかった。



旅館を出るとき、ちょうど玄関口にいた女将にあらためて水族館への行き方を聞くと、そこは本当に旅館のすぐ隣だった。

「なぁんだ、この建物だったのか。行き方も何もあったもんじゃないや」

建物を見上げて苦笑いを浮かべると、きみが笑った。

「散歩にもならない距離ね」

「まったくだよ」

でもそれでよかった。

田舎ゆえ万が一のこともないとは思うが、もし非常事態になっても、宿が近くにあればそれなりに安心できるというものだ。



「じゃ、早速入ろうか」

ぼくはきみを促し、券売所で入場券を買った。