桜花舞うとき、きみを想う



広い和室の中央に置かれた机の周りをぐるぐる走っていると、すぐに目が回った。

やがて座布団に足をとられて尻餅をついたぼくは、そのまま寝転がった。

きみは息を切らして笑いながら、ぼくの腹の上にまたがった。

「わたしの勝ち!」

「負けたよ、重い重い!」

ぼくが鈍い唸り声を出して体をひねると、ぼくの上に乗っていたきみは畳にごろんと落ちて、そのまま腹を抱えて笑っていた。



いたずらを始めると、ぼくが負けたと言うまでやめないところは、子供の頃からちっとも変わらなかった。

ぼくは呆れてしまって、きみの隣に横になって、笑い転げるその顔を見た。



ぼくの視線に気付いたきみは、笑うのをやめてぼくの頬に手のひらを当て、やさしく微笑んだ。



その微笑みに引き込まれ、無性に愛おしくなったぼくは、きみに体重をかけないように気をつけながら、唇にそっと接吻をした。