桜花舞うとき、きみを想う



「年下かしら。でもしっかり者のお顔だわ」

素子さんの鋭い観察眼に、ぼくは敬服した。

「さすがだね。写真1枚で、そこまで見抜いてしまうなんて。ぼくも、きっと彼女は、子供が産まれたらいい母になる人柄だと思う」

「……愛してらっしゃるのね」

「はい、とても」

素子さんはしばらくの間、写真をじっと見つめていたが、ふと思い切ったように顔を上げると、

「お願いがあるの」

と言った。

「お願い?」

ぼくが訊くと、素子さんは陶器のように白い顔を、みるみるうちに茹だってしまいそうなほど真っ赤に染め、こくりと頷いた。

「今夜は、ここにいてちょうだい」

突然の申し出に、ぼくは目を見開いて硬直してしまった。

ぼくの思い違いでなければ、その言葉はつまり、そういうことだ。