桜花舞うとき、きみを想う



この頃から、ぼくは毎晩、きみの夢を見るようになった。

それはまるで何かの暗示のように、どんな夢にでも姿を見せる。

ある日のきみは、神社で遊んでいた頃の幼い姿で、ぼくに竹とんぼを作ってくれとせがんだ。

ぼくはせっせと作って、広い境内で思いっきり飛ばすが、何度改良してもまったく飛ばない。

空高く舞い上がっても、回転がぴたりと止まって、そのまますとんと地面へ落ちるのだ。

きみは、ちゃんと飛ばしてと言って泣いた。

こんな落ち方では壊れちゃうとも言っていた。

ぼくはごめんと謝って、カルミンをあげようとポケットに手を入れるが、何もない。

あれをあげると、きみは決まって泣き止むから、いつも必ず持っていたのに。

おかしいと思い手を出すと、指先には白い粉が付いていて、それはほのかに薄荷の匂いをさせていた。



目が覚めると、全身が汗で濡れていた。

現実の世界に戻るまでにしばし時間がかかり、我に返ったぼくは、枕の下に手を入れた。