桜花舞うとき、きみを想う



必死の攻撃を前提とした作戦をどう思うか。

その質問は、さっきの、戦争がどうなると思うかという問いかけよりも難しい。

けれどぼくの中で答えは出ている。

そんな作戦が許されるはずがない。

人間の命を爆弾代わりにしてはいけない。

ぼくだけでなく、誰にでもわかるはずの、簡単な質問だ。

それなのに、ぼくはそう答えることができず、軍人ならどう答えるべきかを考えていた。

「入隊したときから……」

ぼくは言葉を慎重に選びながら、ゆっくりと答えた。

「入隊したときから、自分の命はお国に捧げたものと思っていますから、そういう作戦を命じられれば実行するのみです」

これがぼくが考えた、いちばん軍人らしい答えで、そしておそらくは、それが正解なのだった。

「それがお国のためになるのなら、やるべきであると信じます」

何の地位もない末端の兵士であるぼくに言える、唯一の答えだった。