何も答えないぼくに、清水さんは続けた。
「死ぬかもしれない戦いではない。行けば必ず死ぬ、必死の攻撃だ。そういう作戦を、きみはどう思う」
清水さんは、片時もぼくから視線を逸らさない。
ぼくの、ちょっとした反応さえも見逃すまいとしているようだった。
「特別攻撃隊のことですか」
新聞で読んで存在は知っていたし、初めて特攻隊として敵艦に体当たりした隊員たちは、軍神として奉られていると噂になっていた。
清水さんは、一瞬間を置いて、しかしはっきりと答えた。
「そうだ」
ぼくの脳裏に、永山さんの顔が浮かんだ。
――きみだって、ここへ配属になったからには、そういう覚悟があるんだろう。
やはり永山さんは、このことを言っていたのだと確信した。


