「ずっと知りたいと思っていたのですが、毎日の生活に流されるがまま、こんなにも経ってしまいました。とてもお世話になった方もいますから、ご存知でしたら教えていただきたいのです」
ぼくは、この機会を逃すまいと清水さんに詰め寄った。
清水さんが今まで一度も彼らの安否に触れなかったことからも、決していい報告が聞けるとは思っていなかった。
でも、ぼくを巡洋艦へ誘ってくれた村井少尉や、優しかった宮崎さん、そして薄ら笑いでぼくを海へ放り投げた磯貝さんがどうなったのか。
ことあるごとに脳裏に浮かび、眠れない夜もあったのだ。
知人の行方を知りたいこと思うことは、当然のことだった。
ぼくの切羽詰る様子を見て、清水さんは、眉間に皺を寄せた。
「全員の安否はわからないが、救出され別部隊で任務に復帰した者もあると聞いているよ。ほんの僅かではあるが、それでも幸運なことだ」
「宮崎主計長のことは、ご存知ありませんか。あと、全身包帯で巻かれた大きな人や、それから……」
必死に食い下がるぼくを、清水さんは手で制した。
「上がってきた報告書には目を通した。言いにくいが、その中にあった主計科の人員の名前は、きみだけだった」
その言葉に、ぼくは絶句した。
(ぼくだけ……)


