「どうだった、乗り心地は」
降りたそばからへたり込むぼくを見て、清水さんは珍しく声を立てて笑った。
「確かめたいことがあったものだから乱暴な操縦になった。悪かったね」
「……大丈夫、です」
「立てるか。午後の訓練は休んで、少しわたしの部屋で話をさせてくれ」
ぼくは清水さんに支えられ、ふらつきながらも立ち上がり、そのまま指導員室へ戻った。
「きみは、先日わたしに、巡洋艦から落ちて救出されたときのことは覚えていないと言ったね」
指導員室で向かい合って座るなり、清水さんが切り出した。
「はい。気付いたときには布団で寝ていました」
庭を散歩していたときにも同じ会話をしたことを思い出したが、それが一体何だというのだろう。
清水さんは顎に手を当てて、しばらく考え込み、言った。
「いや、やはりおかしい。そんなはずはないんだ」


