桜花舞うとき、きみを想う



「ここから上がって、後部座席に座れ」

言われた通り、ぼくは練習機に乗り込んだ。

中は見た目よりも狭く感じた。

「その操縦桿には触るなよ」

「はい」

足の間に、ちょうど両手で包み込めるくらいの棒があった。

おそらく教官が指導するための操縦桿なのだろう。

うっかり触れて機体に異変が起こったら大変だと思い、ぼくは握り拳を両腿の上に置いた。



清水さんが乗り込み、やがてプロペラが回りだすと同時に轟音が鳴り響き、振動が視界を揺らした。

それから先のことは、興奮と恐怖が入り乱れ、はっきりと記憶していない。

上昇や降下を繰り返し、何の邪魔もない大空を何度も旋回する中、かろうじて太陽に照らされる鹿児島湾を見ることができて、それは本当に美しかったが、直後の急降下に必死に耐えなければならず、ぼくは清水さんが言ったように楽しむことなど、まったくできなかった。

地上に降り立ったときには、すでに体中の筋肉が悲鳴を上げていた。