「帰れることがあればだなんて、やけに悲観的な言い方をするんだね」
ぼくが言うと、永山さんは小さく首をかしげて、ぼくを見た。
「きみだって、ここへ配属になったからには、そういう覚悟があるんだろう」
「え?」
「まあでも、気分転換に故郷を思うのも悪いことじゃないと、ぼくは思うよ。ああ時間だ。それじゃまた」
永山さんはぼくが言葉を挟む余地もないほど早口に言って、慌しく部屋を後にした。
ぼくはひとり取り残されると、しばし立ちすくみ呆然とした。
(そういう、覚悟……)
その言葉の響きと、日本の現状を照らし合わせたとき、それが意味するところはひとつしかない。
けれどぼくは、ここへ配属になると決まったとき、誰からも、もちろん清水さんからもそれらしいことは言われなかった。
そうとわかっていれば、こんなにもあっさりと入隊しなかった。
(本当に、そうなのか。だとしたら、永山さんはいつ……)


