桜花舞うとき、きみを想う



戦闘機など、とんでもない話だ。

今戦闘機に乗っている人々は、3年程前から予科練で過酷な訓練を積んだパイロットばかりで、体つきだって筋骨隆々で、ぼくなんかが横に並べば、もやし同然であるはずだ。

「自分はロクに戦闘訓練さえも受けていない兵隊ですから、飛行機などとても乗りこなせません」

そう言うと、清水さんはぼくに向き直った。

「きみは、沈没する巡洋艦から落ちたときのことを、覚えているか」

唐突な質問に、ぼくは目を白黒させた。

(落ちたとき……)

つまり、磯貝さんに投げ落とされたときのことだ。

「あのときは、体が浮いたと思って目を開けたときには目の前が真っ青で、それが空なのか海なのか、ということを考えたと思います」

「救出されたときのことは」

「いえ。目が覚めたら布団で寝ていました。落ちてから救出されるまでのことは、記憶にありません」

それと戦闘機と、一体何の関係があるのだろうか。

そのときのぼくには、清水さんの意図が掴めなかった。