桜花舞うとき、きみを想う



手入れの行き届いた美しい日本庭園を、清水さんは無言で歩いた。

桜は終わり、でも夏はまだ遠いと思わせる風の香りに、ぼくは深呼吸をした。

体に新鮮な空気が満たされ、清水さんの背中を追いながら、うっとりとその空間を楽しんだ。

清水さんは、池の前で立ち止まり、独り言のように呟いた。



「乗ってみるか」



ぼくは、それは清水さんの独り言で、自分に向けられた言葉ではないと思い返事をせず、清水さんの横に佇んた。

すると清水さんが、もう一度、今度はぼくのほうへ顔を向けて言った。

「今度、試しに乗ってみるか」

「え」

清水さんは、ぼくの腑抜けのような顔を見て、少し口の端を上げた。

「戦闘機だ。だいぶ体も良くなっているようだし、来週にでもわたしと一緒に基地へ来なさい」