けれど、そんな土地柄には似つかわしくなく、一歩外に出れば、そこに暮らす人々はのどかとは程遠い生活をしていた。
もちろん、働き盛りの素子さんも例外ではない。
「では今日も行ってきますから、礼二さんはどうかゆっくりなさってね」
「はい。ありがとう」
彼女は毎日、勤労奉仕に出ていた。
モンペを着て、白い鉢巻を頭に巻いて畑仕事をするのだという。
ときには空き地で竹槍訓練もするのだが、素子さんは鹿屋の女の子たちの体力についてゆけず、嫌だと愚痴ていた。
それなら軍需工場に行けばよかったのに、と言うと、
「嫌よ。何を作らされるのかわかったもんじゃないでしょ」
頬を膨らませて怒った。
「それに工場で働いたって、本土決戦に備えた訓練はあるのよ。竹槍どころか銃剣を持たされるところもあるって聞くもの。だったら畑仕事の合間に竹槍を振り回すほうが、いくらかマシだわ」
素子さんは、どこかムキになっているように見えた。
国のために働くことを惜しみはしないが、それは戦闘要員ではなく、あくまで国民の生活に役立つ奉仕をというのが彼女の方針で、ぼくはそこに、彼女の軍人の娘としての葛藤を見た。


