桜花舞うとき、きみを想う



ぼくの質問に、振り向いた夫人は、顔を曇らせた。

ぼくとしても、全員が助かったとは考えていなかった。

だが、烹炊所で共に働いていた面々がどうなったのか、少しでも情報が欲しいと思った。



「今は、ご自分のお体のことだけお考えになったほうがよろしいわ」



夫人の答えは、それだけだった。

「そう……ですね」

ぼくもそれ以上追及する気にはなれず、ぼくらの間に沈黙が訪れた。



立ち去りがたくなったのか、夫人はしばらく考える仕種を見せ、それから言った。

「もしお眠りにならないなら、少しでも気が紛れるよう、娘を寄越しますから、何かお話でもされたらいかがかしら。今後のことは、元気になられてからでもよろしいでしょ」

夫人は、ね、それがいいわと呟きながら、ぼくの返事を待たずに部屋を出た。