桜花舞うとき、きみを想う



静かだった。

常に聞こえていたやかましい機動音が聞こえない。

食糧調達を指示する声も聞こえない。

どこまでも静かで、時折、風が木々を揺らす音がするだけだった。



(風の音……?)



パチリと目を開けると、規則正しい板目模様の天井が見えた。

ゆっくり首を右に動かすと、襖戸が閉まっていた。

左側は障子戸で、やはり閉まっていた。

障子戸の向こうは外なのか、明るい日差しに照らされ、真っ白に輝く障子が眩しかった。

(ここは……)

まったく見覚えのない部屋に、ぼくは寝かされていた。