桜花舞うとき、きみを想う



「どうしてって……ぼ、ぼくが知るはずないじゃないですか」

「黙れ!じゃあ聞くが、昨晩、何してた」

「寝てました」

「嘘つけっ」

「嘘ではありません」

「それなら宮崎は、誰の告発でおれを殴ったんだ。下手な言い逃れはよせ」

ぼくはじわじわと後ずさりをしたが、とうとう壁に背中がついて、逃げ場を失った。

「い、磯貝さんが何を疑っているのか知りませんが、ぼくは本当に……」

そのとき、耳をつんざく爆音と、ひときわ大きな振動が艦を襲った。



「退避!退避!」

どこからか声がして、ぼくは急ぎ立ち上がり、攻撃されていない方向へ向かった。

少し走ったところで振り返ってみると、磯貝さんの姿が見えなかった。