ぼくはポケットにカルミンを忍ばせて、きみに会いに行った。 きみは知らないだろうけど、あのときぼくは、ひどく緊張していた。 きみの前を歩きながら、何ひとつ気の利いたことも言えずにいた。 心臓の音がきみに聞こえやしないかと、気が気じゃなかった。 だってぼくは…―