桜花舞うとき、きみを想う



朝食を食堂に運び終え、ぼくら主計兵はようやくひと息ついた。

ぼくは食堂の片隅で、にこやかに、そして賑やかに飯をかき込む男たちを眺めていた。

いつもはしかつめらしい顔をした面々だが、食事のときだけは顔がほころび、まるで別空間に迷い込んだような錯覚さえ覚える。

この光景を、片隅でじっと見るのが好きだった。

寝不足のせいで頭がぼんやりしていたぼくは、意識がないも同然の顔つきだったのだと思う。

烹炊所に戻ろうとしていた、同じ主計科の二等兵に、

「大丈夫かい。顔色が悪いけど」

と声をかけられた。

ぼくはハッとして、頭を軽く横に振り、大丈夫と返事をすると、その二等兵が、

「そう。ところで、あちらがざわついているけど、何かあったのかな」

食堂の出口の向こうに目をやった。

ぼくも同じほうを見ると、たしかに数人がかたまって、何かしているように見えた。

ぼくは二等兵と視線を交わし、一緒に食堂を出た。